身体表現性障害の実態把握|辛抱強い支えが鍵

ウーマン

心の原因による身体症状

看護師

さまざまな身体症状の原因

身体の不調として現れる症状の中でも、頭痛や腹痛・吐き気・下痢・便秘などは多くの人が経験しています。そうした症状も普通は数時間から数日で収まるものですが、中には数年間にもわたって慢性的な症状に悩まされている人もいます。苦痛に耐えかねて病院の検査を受けても異常が見つからないとしたら、患者さんはなかなか納得しないでしょう。しかしながらそのような症例は決して珍しくありません。身体に発する痛みや消化器の機能不全といった症状は、必ずしも器質的な病気が原因で起きるわけではないのです。検査で異常が見つからないとしたら、症状の原因はむしろ心の方にあります。精神医学の分野では、こうした症例を身体表現性障害の中の身体化障害と呼んでいます。患者さん本人にとっては仮病でも何でもなく、症状には実際に苦しまされていることに変わりありません。身体表現性障害の発症には精神的なストレスが深く関わっており、患者さんによっては身体上の苦痛ばかりでなく精神的にもさまざまな不安を抱えています。身体表現性障害にはこのような身体化障害の他にも疼痛性障害や転換性障害、心気症・身体醜形障害といった4つの病気が含まれます。男性よりも女性に多く、たいていは30代以前の若いうちに発症するのが特徴です。いずれも心と体のバランスが崩れていることが症状につながっているため、治療には心の側からのアプローチが欠かせません。

治療できるクリニック

身体表現性障害の治療に最も相応しい病院やクリニックの診療科は心療内科です。一般の内科ではウイルス感染や炎症など明らかな原因に対する治療や対処療法は行っていますが、心が原因で発生している症状に対しては適切な治療をすることができません。身体表現性障害の症状を改善させるには、何よりも心を治療する必要があるのです。心療内科は心を原因とする身体症状の治療を専門としています。精神科やメンタルクリニックでも同様の治療を行っており、いずれも心の病気を治すための医療機関です。心療内科でも身体表現性障害の患者さんに対して薬を処方しています。この薬は一般の内科で処方される薬とは違ったものです。患者さんの症状によって薬の種類は変わってきますが、抗うつ薬や抗不安薬など心の治療に使われる薬が身体表現性障害にも効果を現します。認知行動療法などの心理療法も症状の改善に役立ちます。身体の痛みや吐き気・便秘といった症状が心から来ているということを認識することによって、患者さんは自ら症状を軽くする方向に行動できるようになるのです。身体表現性障害の発症に深く関わっているストレスのコントロールも、心理療法を通じて学んでいきます。身体表現性障害の治療には時間がかかることも少なくありません。むしろ短期間の治療で症状が劇的に改善される例は稀です。心療内科や精神科では、身体症状に苦しむ患者さんを長期間にわたってサポートしています。